ボクは、九州長崎出身の親に育てられたこともあってか、おじいちゃん、おばあちゃんだったり、お姉ちゃんだったり、師匠だったり、友人だったり…これまでに亡くなったみなさんに手を合わせることを大切に思ってきました。
おそらくそれは、小さい頃からお盆に長崎に帰省すると「精霊船」で初盆の方を送ったり、提灯が飾られたにぎやかな「お墓さん」のところで花火や爆竹をしたり…って文化の中で育ってきて、みんなが「お墓参り」とか、仏壇に手を合わせることを大切にしていたからかも…と思っています。
そして、石屋になってから、この「お参り」と向き合うようになりました。リスペクトする先輩に勧められて、毎朝の「お参り」をするようになって、その良さをさらに感じるようになっています。そして最近は、毎日のように一緒に「お参り」に行くようになった息子たちの姿を見ていて、「『お参り』は子どもたちにとって最強のサポーター!」だってことを確信しています。
真摯に手を合わせる息子たちの姿を見ていると、「ご先祖さま」は、いつも温かく見守ってくださっていて、話を全部聞いてくれて、とことん応援してくださる本当に心強い存在だ!と思っています。このことに気づいてから、知り合いの方や産地見学に来られた方に、この話をいつも伝えています。
すると、聞いてくださった方の多くが「手を合わせるようになったよ!」とか「子どもを連れて『お参り』に行くようになりました。」などの声が届いていて、とてもうれしい気持ちになっています。どうか、子どもたちが温かく育っていくことに貢献できたらいいな…と思っています。
次の世代の「ご先祖さま」はボクら
そんなことを思いながら、息子と「お参り」をしている時に、ふと「いつか自分も手を合わせてもらうようになるかも…」って思ったことがありました。今まではあまり考えたことがなかったけど、もうそんなに遠くない未来に、そんなことが起こるかもしれないな…と考えていると、これまで使ったことがない言葉が頭によぎりました。
「自分も『ご先祖さま』になる。」
そう、ボクらも息子たちや、もっと先の世代から見ると「ご先祖さま」になります。自分や息子たちが、たくさんたくさんパワーをいただいている「ご先祖さま」に自分もなれるのかな…って、ちょっと不安な気持ちになったりもするけど、確かにそうなるな…って思っています。
去年のお盆から、今年のお正月にかけて、うちの両親からの戸籍を辿って「家系図」を作りました。そこには、たくさんの今まで知らなかった、ご先祖さまのお名前があって、ボクはたくさんの「ご先祖さま」とのつながりの中で生まれてきたんだな…ってことを感じています。
自分もこれからの世代の「ご先祖さま」。ボクがパワーをいただいているように、息子が温かく見守っていただいているように、これからの世代のみんなにしっかりとパワーを送れるようにがんばりたいな…と思っています。
勇気を出して、次の世代の「ご先祖さま」になることを引き受ける。
7年前に石屋になって間もなくコロナがやってきてしまって、お葬式やお墓についての考え方は大きく関わってきていることを感じています。「お墓さん」の需要も大きく変化してきていて、「お墓さん」を作る庵治産地の雰囲気は、ボクが石屋をやり始めた頃から見ても、間違いなく大きく変わってきています。
そんな中、知り合いの方と話していると「自分なんて、手を合わせてもらわなくてもいい。」とおっしゃっている場面と出会いました。詳しく聞いてみると、散骨など形を残さないようにしたい…ということでした。理由を聞いてみると、子どもたちやその先の世代に、迷惑をかけたくないから…という話でした。
その話を聞いた時に、うちの息子たちが手を合わせている姿が頭をよぎりました。ボクはもちろんそうだし、おそらく息子たちも、迷惑だとは思っていません。むしろ、パワーをいただいている…って思っています。「ご先祖さま」はいつもこっちを向いて見守ってくださっている…って感じています。
ずっと考えているのですが、ボクも確かにちょっと不安だったり、そんなことをしてもらわなくても大丈夫だ…って思ったりするな…と思いました。だからと言って、もし自分が「ご先祖さま」として、そこにいなければ、次の世代の子たちが、うちの息子たちみたいにパワーをもらえることはないかもな…と感じます。
「自分なんて、手を合わせてもらわなくていい。」とおっしゃった方の言葉から、このことについて考えさせてもらったおかげで、ボクは今まで考えたことがないことを考えることができました。今の意見としては、ボクは遠慮なく「ご先祖さま」になったらいいんじゃないかな…と思っています。ちょっと勇気がいるし、もしかしたらちょっとめんどくさい…って感じるかもしれないけれど、「ご先祖さま」になることを引き受けて、次の世代とのつながっていく方を選ぶことのほうが、次の世代は幸せになるんじゃないかな…と思っています。
息子たちと「お参り」に行きながら、自分自身が「ご先祖さま」にいただいていることと、自分自身がこれからの世代の「ご先祖さま」になって何ができるのか…ってことについて、考え続けていきたいと思います。
庵治石細目「松原等石材店」3代目 森重裕二
