ボクのおじいちゃんは「ご先祖さま」のこと、つまりおじいちゃん以前の代のことを全く語らずに亡くなりました。おじいちゃんが健在だったころから、3代前以前のことは分からない…ってことを両親から聞いていて、「そうなんやな…」と、特にそれ以上考えることもなく過ごしてきました。
石屋になってから、仕事柄、ご位牌に触れる機会も増えてきたこともあって、この前のお盆に仏壇の位牌をキレイに拭かせてもらいました。おじいちゃんとおばあちゃんのご位牌を拭いていると、おじいちゃんとおばあちゃんとの思い出がたくさん出てきて、ちょっと泣きそうでした。
そして、次に立派なご位牌を拭いていると、中からたくさんの方の戒名などが書いてある板が出てきました。それまで知らなかったのですが、これは「繰出位牌(回出位牌・くりだしいはい)」と呼ばれていて、ご先祖様のお位牌が増えてお仏壇に収まりきらなくなった時に、位牌を一つにまとめるための箱型の位牌でした。
あまりに、当たり前の光景だったので、ボクだけでなく、いつも家にいる両親も、親戚もその「繰出位牌」の中に「ご先祖さま」のお名前が入っていることを知らなくて、みんなが驚いていました。そして、その中のお名前を見ても、両親もそのみなさんのことが分からなかったようで、「家系図」を作る決意をしました。
「家系図」を作ることは難しいことじゃない。
やってみて分かったことですが、「家系図」を作るって、とても大変なこと…ってイメージをお持ちの方もおられると思いますが、実はそんなことはありませんでした。市役所に行って、窓口で「家系図を作りたいのですが…」と相談しただけで、必要な書類を取り寄せていただけたのです。
調べてみると、実はちょっと前までは、家系図を作る時に必要な「 戸籍謄本」や「除籍謄本」については、その戸籍がある市役所や役場に直接申請する必要があったそうです。つまり、「ご先祖さま」がいろんな地域におられたら、それぞれのところに申請する必要があった…ということ。ですが、令和6年3月1日の戸籍法改正で、本人、配偶者、直系尊属(父母・祖父母など)、直系卑属(子・孫など)の分であれば、市役所で取り寄せることが可能になったそうです。
そして、取り寄せた「戸籍」から、それぞれのつながりを読み解いていけば「家系図」を作ることができます。ボクの場合、市役所の方が取り寄せる時のメモを作ってくださっていて、それもいただけたので、本当にすぐに「家系図」を作ることができました。
「家系図」を作ることで見えてきた「ご先祖さま」のストーリー
自分が作った「家系図」には、「ご先祖さま」のお名前、生年月日、死亡年月日を記入して見ました。すると、それぞれの方の関係がありありと見えてきました。特に、何も語らずに亡くなってしまったおじいちゃんのストーリーが驚くほど鮮明に見えてきました。
おじいちゃんの人生に涙が溢れてきたし、何も語らなかったおじいちゃんのことを何だか全く違った形で理解することができて、改めて感謝の気持ちが溢れてきました。他にも「ご先祖さま」の存在を知ることができて、何だか自分自身のことについても改めて考えることができました。
そして、この年末に帰省し、改めて「繰出位牌」を見てみると、すべての方がどういう方かということが説明できるようになっていました。何だか胸がいっぱいになっていました。そして、新年になって「お墓参り」に行くと、また新たな感覚がありました。
小さい頃から「お参り」に行くたびに、霊標に刻まれている全く知らないお名前を見て「この名前って誰だっけ?」ってぼんやり思っていたけれど、全ての方がどんな関係の方なのかを説明できるようになっていました。今回の「家系図」を作ったことで、自分の「ご先祖さま」の存在を、改めて認識することができました。
おじいちゃんのストーリーを親戚に語ったことで感じたこと。
親戚のみんなも、ボクと同じように、おじいちゃんが多くを語らなかったことだったり、ぼんやりとそれ以前のことは分からない…と思い込んでいたりで、特に深く調べたり、話したりはして来なかったそうです。「繰出位牌」についても、あることさえ気にもしていなかった…とのこと。みんな、ボクと同じでした。
そんな親戚のみんなに、作った「家系図」を見ながら、ボクが調べて分かったおじいちゃんのストーリーを語ってみました。みんな興味津々で聞いてくれました。なぜ、おじいちゃんが多くを語らなかったのか…、おじいちゃんはどういう人生を送ったのか…ってことが分かったことで、ボクがストーリーを語らせてもらった後、みんなで改めておじいちゃんのことについて話しました。
そして、しばらく「家系図」を見ながら、ボクらの知っているおじいちゃん、おばあちゃんのもっと上の「ご先祖さま」のお名前を見ながら、しばらく話し込んでいました。おじいちゃんのことを改めて考えることができたし、当時のみなさんのことに思いを馳せることができて、それをみんなで共有することができて、なんかとってもいい時間でした。
今回、みんなで「家系図」を囲んで話をしてみたことで、それぞれの方が知っている情報が少しずつ集まってきたり、これからお寺さんに聞きに行ってみようか…って話になったりして、またさらに話すきっかけになりそうな感じです。また、これからのお盆とお正月の帰省が楽しみになりました。
もしかしたら、「ご先祖さま」のことを知らなくても、特に問題なく生きていくことはできるかも知れません。でも、「家系図」を作ってみて分かったことは「ご先祖さま」のことを深く知ることができる…ってこと。そして、それは、改めて自分自身を見つめ直すきっかけになる…ってことを感じています。
今年も毎朝の「お参り」を続けていくつもりです。そして、今回改めて知った「ご先祖さま」のみなさま、そして特に大好きなおじいちゃんに感謝を伝えたいと思います。そして、一緒に「お参り」に行くうちの子たちにも、「ご先祖さま」のことを語っていきたいと思います。
庵治石細目「松原等石材店」3代目 森重裕二
