一緒に焚火をしていた息子に話したこと。

ボクは焚火が好きです。ちょくちょく焚火をして遊んでいます。息子たちも焚火で遊ぶのが好きです。最近は、三男(5歳)が特に楽しんでいます。焚火に薪を投入したり、ちゃんと燃えるように薪を動かしたり…。

そんな三男がパチパチと音を立てて燃える火から、時折「パチン!」と薪が弾けて飛ぶ瞬間があって、ちょっと飛ぶ火の粉を怖がっていたのですが、だんだんと慣れてきて、落ち着いて火を楽しんでいました。ふとした瞬間に、三男が急に大きな声を出しました。

「おとう!お空に火が飛んでる!」

初めは何のことか分かりませんでした。息子の話を聞きながら、一緒に焚火を見ていると、彼が言っていたのは、焚火の上に舞い上がる「火の粉」のことでした。息子にとっては初めて見る「火の粉」だったはずで、こうして何もかもに新しい出会いをしているだろう息子に感動していました。


自分で焚火をしていると、全く目を向けることがなかった「火の粉」。息子に言われてからは、焚火から舞い上がる「火の粉」をずっと見ていました。すると、「火の粉」の先に、本当にキレイな星空と大きな満月が見えました。


その風景を見ていて、18年前に亡くなった師匠の追悼ライブのことを思い出していました。そのライブは、師匠のことを慕うみんながキャンプ場に集まって、順番にライブをしていく…といったものでした。ボクは本当にリスペクトしていた師匠が亡くなってしまって、あまりに悲しくて悲しくて…という時期でした。だけど、
とにかくとことん盛り上げよう!と思って、家にあった大きな薪を車に積めるだけ積んで、会場に向かいました。

ライブ会場に着くと、会場の一番ど真ん中に持ってきた木を組んで、大きな大きな焚火を準備しました。火をつけてみると、それはこれまでに見たことのあるどの焚火よりも、これまで経験したどのキャンプファイヤーよりも大きな大きな火になりました。


それはもうみんなの思いが集まって、みんなの心が集まって、大きく燃えているみたいでした。舞い上がるたくさんの「火の粉」を見上げて、どうかどうかみんなの思いが届きますように…と願った先に、涙で滲んだ大きな満月があったのを思い出します。


そんなことを思い出しながら、小さな焚火を見ていたら、三男がまた、

「おとう!火がお空に飛んでいくよ!」

って叫びました。三男が指差した「火の粉」を見ながら、ボクは師匠の追悼ライブでの大きな焚火の「火の粉」と、今、目の前で三男と一緒に眺めている小さな焚火の「火の粉」が重なって、涙が溢れてきてしまいました。そして、楽しそうに薪で遊んでいる三男に、

「お空に飛んでいく火に乗って、お空にいるおっちゃんに心が届くんやで。」

って伝えてみました。すると、三男はちょっとキョトンとしながら、また「火の粉」を追いかけて、空を見上げていました。おそらく、彼には意味がわからなかったと思うけど、いつか必要な時にこの焚火の風景が何かの支えになるといいなと思っています。


また、時間がある時は、子どもたちと焚火をしたいと思っています。火を見ながら、またいろんなことを話せたらいいな…と。無邪気に遊ぶ三男が薪を入れると、パチパチと音を立ててまた焚火から「火の粉」が舞い上がりました。その先を星空を見上げると、また満月がキレイに輝いていました。

庵治石細目「松原等石材店」 3代目・森重裕二

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